たえてさくらのなかりせば

投稿者： hiro 投稿日時： 2013-12-1 16:35:05
【作 者 名】山崎　伊知郎

【登場人物】男７　女１３　計２０名

【上演時間】４５分

【コメント】　この劇は、平成二十五年度の文化祭および江東区立中学校連合芸能会で、本校演劇部が上演するために、部員と一緒に創作したものです。
　「�猴Φき瓩鬟董璽泙砲靴新爐�いい」という三年生の意見をもとに、幾つかのグループに分かれて短い劇のあらすじを考え、その中から多数決で選ばれたのが、「初恋の女の子と一緒に遊んだ河川敷の桜並木が工事によってなくなってしまう。気弱な主人公が仲間と共に反対運動に立ち上がる」という案でした。「河川敷」や「桜並木」を舞台化するのは中学校の文化祭では難しそうなので、設定を「廃校になった小学校の校庭」に変えて脚本作りが始まりました。
　「途中まで書いては生徒に見せ、意見を参考にして書き直す。」を繰り返し、脚本が完成したのは、文化祭の二週間前でした。
　題名の「たえてさくらのなかりせば」という題名は、古今和歌集に収められた在原業平の和歌から取りました。　業平の歌は「世の中に絶えて桜のなかりせば」（この世から桜というものがなかったならば）のあとに、「春の心はのどけからまし」（穏やかな心で春を過ごせるだろうに）という下の句が続きます。桜を愛でる気持ちを、ちょっと「ひねくれた」かたちで表現した歌といえます。
　「たえてさくらのなかりせば」のあとに続く「下の句」は、彼ら一人一人によって違ってくるはずです。脚本を読みながら、登場人物たちの桜の木への思いを想像してみてください。
　この脚本ができたとき、本校の演劇部員は女子だけでした。ですから、男子生徒の役やおじいさんの役も女子が演じることになります。また、男性ではないけれど、町長さんや町役場の職員、小学校の先生、おばあさんなど、中学生が「等身大」で演じるにはやや難のある大人の役も出てきます。
　この劇の主人公は中学生ですが、大人達の存在が時には彼らを苦悩させ、また、彼らを奮い立たせます。大人をどう演じるかが、ポイントだと思います。
　指導者の方々の中には、女子が男子を演じたり（あるいはその逆）、中学生が大人を演じたりすることに抵抗のある方もいらっしゃるかも知れません。しかし、私は、「舞台の上では誰にでも（何にでも）なれる」というのが、演劇の大きな魅力の一つだと思っています。「本物の大人」に近づくために、大人の仕草や話し方、そして大人の気持ちなどを考えることは、中学生にとって貴重な体験になるでしょう。

　

【使 用 料】脚本公開規則に準ずる

【上演記録】２０１２年度都大会等



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